幼少期からインターナショナルスクールに高い学費をかけて子供を通わせることの善し悪しをインター幼稚園出身の子供(僕)の立場から考える

インターナショナルスクール

 

お子さんの教育を考えるうえで、早期の英語教育に関心のある親御さんは多いのではないでしょうか?

 

2020年から文部科学省の英語教育改革実施計画に基づいて小学校から早期での英語教育が始まることを受けて、今まで以上にお子さんに英語を早くから身に着けさせたほうがいいのかなと意識される親御さんは増えていることかと思います。

 

早期の英語教育の中でもインターナショナルスクールに通わせる選択肢を考える方は多いかと思います。

 

ただほとんどの場合、インターの幼稚園に子供を通わせるかどうかの決め手は他の親御さんの意見や知り合いの話など、インターの幼稚園に子供を通わせる親サイドの意見が反映されすぎる気がします。

 

親サイドの意見だと往々にして費用面でのメリットデメリットやまだインターを卒業して間もない(成人してもいない)子供の親御さんの話など、短期的なメリットデメリット、それも親サイドから見るインター像しか見えてこないように思います。

 

そこで

 

ケンコウクン

この記事ではインターの幼稚園に三年~四年通っていた私の子供目線(今は大人ですが笑)から見るインターナショナルスクールの長期、短期のメリットデメリットをお伝えできればなと

 

ちなみに私のインター幼稚園卒園後の経歴としては日本の幼稚園(一年)→日本の小学校→日本の中学校→日本の高校→海外のインターナショナルスクールに転校→アメリカの大学→社会人となっています。

 

ケンコウクン

詳しいプロフィールはいずれ追加するかと思いますが簡略なプロフィール紹介です(笑)

 

都内のインターナショナルスクール(幼稚園)の平均的な学費(2023年)

具体的な数字をもとに平均的な数字を出したわけではないのですが僕が数十校のプリスクール、キンダーガーデン(インターの幼稚園)の学費を見てだいたい100万円から200万円ほど年間にかかると考えるのが妥当だと思われます。

 

2019年10月から実施されている「保育無償化」によって数十万円の補助金が出るようですが、いずれにしても日本の幼稚園や保育園に比べると3、4倍の費用が掛かります。

 

教育にかける費用は子供の将来への投資としていくらかかっても構わないという親御さんもいるかもしれませんが、実際に子供をインターの幼稚園に通わせることの金銭面での負担、メリット、デメリットの3つをしっかりと天秤にかけて通わせるか否かの判断をするのが賢明ではないかと思われます。

 

ケンコウクン

ということでここからはメリットデメリットに関してお伝えしたいと思います。

 

インター幼稚園出身者が感じるインターナショナルスクールのメリットデメリット

 

ケンコウクン

日本の幼稚園にも小学校入学前に一年通っていたので日本の幼稚園との違いから見るメリットデメリットもある程度はお伝えできるかと思います。

 

メリット

外国語、外国の文化、人への抵抗感がなくなる

幼稚園児の日本語での語彙数を想像してもわかる通り、幼稚園生が身に着けることのできる英語力(単語数、表現力)には限界はありますが、外国語を日常の中で触れることができるというのは、小中高で成績のために英語で接するのとまったく違い、英語に抵抗感がなくなります。

 

それだけにとどまらず、外国の文化に対しても抵抗感が薄れます。

 

単純に外国人の先生がいれば先生の出身国の価値観や文化感を日常的に感じることがありますし、例えばインターに通っていれば季節ごとにハロウィーンイースター、クリスマスイベントなどがあり、日本以外の文化に接する機会が多いです。

 

自分と異なる人種の子供たちや先生がいることで日本人しかいない幼稚園で育つ子供よりも、違う人種に対する壁のようなものもあまり感じないで育つのはいい点かもしれません。

発音や聞き取り RとLとかVとBとか、THとSとか

幼稚園児の英語力(単語数、表現力)は純粋に日本語しか話さない幼稚園児を思い浮かべればわかるように大したものは身に付きませんが発音や聞き取りに関しては、中高から始めた子供たちよりも圧倒的に身に付きやすく、例え日本の小学校に進学することになって長期的に英語を使わない環境に置かれても、も例えばRとLの発音の違いやVとBの唇の違い、thとsの舌の違いなど、日本語にはない音が発音でき聞き取りできるようになります。

 

ケンコウクン

実際、私も日本の幼稚園に進んだ後に一年ほどでほとんど英語を話すことはできなくなっていましたが、発音の違いや、聞き取りに関してはあまり問題なくできていました

あと、早い段階でアメリカやイギリスなどのいわゆる皆様が想像される英語圏ネイティブの発音は早い時期でないと身につくのがどんどん難しくなってしまうのではないかと思います。

youtu.be

上の動画は小学校で日本人の先生が英語を児童に教えている様子ですが、発音やアクセント、イントネーションの観点のみで見ると、ジャパングリッシュ感がぬぐえません。

 

もちろん、世界にはいろんな発音、アクセントがあるからどうといったことはないとは個人的に思いますが、世間一般的に英語圏ネイティブのような発音を子供に身につけさせたい!という意見が多いのではないでしょうか?

 

正直、小学校での早期英語教育で発音やアクセント、イントネーションを英語圏ネイティブのように身につけるのは日本人の先生の発音の癖などに影響されてしまいますし、なかなか困難かと思います。

 

そういった点で、インターナショナルスクールに行かせるのは発音等の点ではアリだと思います。

 

ケンコウクン

実際、私もインターの幼稚園に通っていたおかげで発音の基礎は日本の小中高でも維持され、アメリカの大学に行った際にはアメリカ人と間違われていました笑

 

日本の小中高に進学する場合、初期の段階ではアドバンテージ

これはデメリットにもつながる話ではあるのですが、メリットとして、日本の小中高に進学する場合であれば最初の段階では下駄をはかせてもらっている状態なので、ほかの生徒よりも当たり前の話ですが英語ができます。

 

みんなよりも英語ができたり、できることで先生や周りから褒められることでより英語を勉強しようという意識が芽生えて、プラスに働くケースがあります。

 

ケンコウクン

私は、ちやほやされたり褒められるのがうれしくて幼稚園の時ではやらない、いわゆる日本式英語教育の文法や単語の勉強もしっかりし中高のテストではトップを、全国模試でも高い偏差値をキープし続けました!

 

そのままインターの小中高に進学する場合には長期的なアドバンテージ

当然のごとく小中高とインターナショナルスクールに通い続けるのであれば最初から英語ができるに越したことはなく、実際私の周りでもインターの幼稚園の後、インターの小中高と進学していく子もある程度いて、そういう子にとっては長期的に英語が母語のように身についていき、学校の勉強にもついていきやすいので幼稚園から小学校のトランジッションがスムーズに行えてよいかもしれません。

 

 

 

デメリット

高額の学費

教育への投資の判断は甘くなりがちかと思いますが、割とシビアに見たほうが良いと個人的には思います。

 

私自身は親が通わせてくれたおかげで英語を中高で勉強しようというモチベーションが生まれ、その結果アメリカの大学にも進学できたので感謝していますが、この下に書くデメリットに陥るケースも少なくなく、そのデメリットを勘案したうえで高額の学費が妥当かどうか判断したほうがいいと思います。

 

メリットばかり見ても自分の子供がデメリットのほうに傾く確率を推し量れるのならまだしも、そんなことは実際に大きくなってからの結果論でしかないのでわかりません。

 

そういう意味では金銭的な負担とインターに子供を通わせた後の家庭の経済的なプランニングや見通しがしっかり立ったうえで通わせるべきです。

 

日本語で大した語彙力もなく、思考も発達してない状態ではいわゆる大人の想像する英語力は身につかない

メリットの部分でも書きましたが、未就学児の語彙レベル、表現力には日本語でさえ限界があります。

 

それはつまり、英語であっても、いわゆる大人が想像する英語ぺらぺらになるというよりは英語の発音が上手とか英語の歌が歌えたり簡単な子供の会話ができるということです。

 

いわゆる大人の英語力(単語力、表現力)を期待するのであれば費用対効果は低いと思います。

 

ただメリットで書いた外国語、文化、人への抵抗感がなくなるということを期待するのであれば費用対効果は高いのではないでしょうか。

日本の中高に進学した際に初期の段階での英語のアドバンテージが後のディスアドバンテージにつながるケースを多く見かける。

日本の中高に進学した際に、何人かインターの幼稚園に行っていた人や子供のころに英語圏に住んでいた帰国子女が同じ学年に何人かいました。

 

結論から言うと、その生徒全員、英語の成績が中学の最初の時点ではいいのですが、徐々に他の、中学から英語を学び始めた生徒と変わらないか劣るようになっていきました。

 

みていると、確かに中学の最初は簡単な英語しか習いませんし、発音がネイティブのようだったりするのでちやほやされるのですが、その後の英語の伸びが極端に悪いです。

 

理由として二つあるなと思ったのが、

 

ちやほやされることで満足して、その後努力をしないパターン。

 

もう一つが日本式の単語を覚えたり、文法を覚えるのが難しいパターンです。

 

ちやほやされることで私のようにもっと頑張ろうと思える場合もありますが、あぐらをかいて英語の勉強をせず、幼稚園レベルの英語でとどまる人たちがいました。

 

もう一つの理由として挙げた日本式の英語教育についていけないパターンですが、

 

考えてもみてください。

 

いくら英語ができるといっても幼稚園生の英語レベルです。

 

そこから英語力を引き上げるには日本語を習得するのと同じで日々その言語と接するか自発的に勉強するかの2通りしかありません。

 

インターの小中高に行かない以上、日々英語に接し続ける環境を維持するのは不可能なので基本的には自発的な勉強が求められます。

 

本の学校でいえばそれは単語を覚えたり、文法をマスターしていくことです。

 

ある程度英語が感覚的に身についているからこそ、そこにプラスアルファで単語や文法など勉強していけば恒常的な英語力の伸びが期待できますが、

 

私の周りではほとんどの人が高校生あたりで英語が苦手とまではいかなくても平均的な生徒と変わらないか劣るレベルになっていました。

 

なにかというと、英語は大学進学ではどの学部に進もうが入試での必須科目です。

推薦やAO入試でさえ英検などの英語技能検定試験の点数を求めてきたり、英語の成績は重要になってきます。

 

そう考えたときに、インターに子供を通わせて英語力の向上を期待するのはあまり意味のあることではなく、あくまでも子供がその後どのように努力するかにかかっていると思います。

 

日本語と英語、両方とも中途半端になる可能性がある。

インターの幼稚園の場合、そこまで長い時間学校で過ごすわけではなく大半の時間は学校外、つまりは家庭かインターの友達と遊んだりして過ごすことになります。

 

その結果、一日の時間は限られているので日本語と英語に接する時間が偏ったり、半々になったとしても、日本語だけに接している子供たちに比べて日本語で過ごす時間が短くなるわけです。

 

頭の良しあしに関係なく、母語である日本語に触れる時間が減れば日本語の上達も遅れますし、逆に、家庭で日本語を話している限り、英語にずっと触れているわけでもないので英語の上達も英語圏の子供に比べれば遅くなります。

 

すなわち日本語も英語も中途半端になってしまう可能性があるのは当然といえば当然です。

 

ケンコウクン

私の周りでも日本語と英語両方とも中途半端な子供が多かったです

 

「個」を尊重するインターの教育が日本の学校に進学する際の障壁となる可能性がある。

「個」を尊重する教育をインターではします。これは私自身が日本の幼稚園に一年間通っていたからこそ比較できるのですが、

 

日本の幼稚園では周りと違う発言、行動をすると怒られて廊下に立たされたり、仲間外れにされます。

 

一方でインターの幼稚園では、周りと違うことが当たり前、肌の色も違えば、価値観も違うのが当たり前で個人の違いを生徒同士でも尊重しますし、先生もむやみやたらに怒ったりしません。

 

インターの幼稚園のいい点ではあるのですが、日本の小学校に進学するとこのギャップに子供がかあり苦労することになります。

 

朝の朝礼では背の順や名前順で整列をさせられ、皆でそろって「おはようございます」という挨拶から始まり、「気を付け」、「着席」、などなど、集団がまとまって行動するような感覚はインターの自由な感覚からはものすごい違和感を感じます。

 

その結果、日本の学校になじめないなどの問題も出てくる可能性は高いと思います。

 

ケンコウクン

私自身は日本の幼稚園で過ごした一年間が本当に苦痛でしたが、その一年間で日本の学校というものを知ったおかげで小学校ではあまり苦労しませんでしたが、インターの幼稚園から日本の小学校に進学する際にはかなりのギャップを感じることになると思います

 

そもそもの早期英語教育の必要性

もし日本の小中高大に行かせる考えを持っているのであればインターナショナルスクールに通わせる必要はないです。

youtu.be

この動画を観ていただければわかりますが、cummins & nakajima 1989 のデータでもわかる通り英語読解力で見ると早期教育があまり意味をなさないことがわかります。

未就学児の英語教育は逆効果

入国年齢と英語読解力

インターナショナルスクールではなくカナダのトロントに移住した家族の子供の入国年齢と英語読解力の相関図ですが、3-6歳、すなわち幼稚園に通うような時期にカナダに移住した子が英語読解力偏差値50に達するのに約10年かかっています。

 

すなわち13-16歳でようやく英語読解力偏差値が50になります。

 

一方で日本の小学校でしっかり母語で勉強してきた子供たちは例えば中学生からカナダに入国したと考えても英語読解力偏差値50に達するのは6年、つまり16歳ごろとなるのです。

 

そう考えると、そもそも両親が日本人で母語が日本語である子供たちに早期の英語教育が後々の英語力に差をつけるかと言ったらそういうわけでもないということです。

 

日本で小中高大と進学させることを考えるのであればこのデータが示しているのは母国語でしっかりとした基礎的な小学生レベルの教育を子供にしたのちに、中学生から英語の勉強をすることで十分インターの幼稚園に行っていたような子供たちと同じレベルの英語力が身につくということです。

 

ここでいう英語力とは読解力等なので、発音や文化的な抵抗感などは含みません。

 

インター以外の選択肢(英語教材)

今の時代、youtubeなどもあるので英語を教えようと思えばやり方はいろいろある気はしますが、今後よさそうな英語教材でもあれば紹介したいなと思います。